鳥なら飛べよと言うけれど

2011年01月16日 22:23

 自転車でそこらへんを走っていると、鳥をひきそうになることがよくある。

 雀はよろしい。やつらは警戒心が強く、すぐに飛びたつ。

 鴉もまあいい。スズメに比べるとはるかにふてぶてしいが、

 やつらは頭がいいので自転車や自動車の「間合い」をよく知っており、

 うっかりひかれるようなことはまずない。

 が、鳩。あいつら、なんとかならないものだろうか。

自転車で危うくひきそうになったことは一度や二度ではない。

警戒心がない上に動きがトロいから、危なっかしくてならない。

加えて、やつらは横着である。自転車で接近しても、うろうろと走り回るだけで

なかなか飛ぼうとしない。鳥なんだから飛んでいただきたい。

 

などというのは人間の立場からの意見であるようだ。

鳩の側からしてみれば、自転車が来たくらいで

いちいち飛んでいたら疲れて仕方がない、といったところだろう。

実際、鳥にとっても飛ぶのはかなりの重労働なようで、

ホバリングで花の蜜を吸う映像が有名なハチドリなどは、
 始終羽ばたいて生活しているため、

あんなちっちゃいくせに1日に15000kcalもの餌を必要とするという。

(人間の場合、平均的な成人男性の必要カロリー量は1日2000kcal程度である。)

体格や羽の構造、飛びたつ高さなどの条件によってだいぶ差がでるだろうが、

鳩にとって、飛びたつという行為は極めて面倒臭く、

こたつで寝そべっていた人間が大急ぎで玄関先に出るぐらいのレベルなのだろう。

 

実際、空を飛ぶのは大変である。

鳥は空を飛ぶために両腕を翼にし、

余計な筋肉はすべて削ぐ一方で、

飛びたつのに使う脚の筋肉と、羽ばたくのに使う胸筋だけはガッチリ鍛えている。

空気抵抗が少ない体勢を作れるよう骨格を変え、軽量化のため骨もスカスカにし、

それでもまだ重いから食べたものはすぐフンにして排泄するようにし、

水分の節約のために尿は尿酸方式を採用。

体内に余分な脂肪を蓄えていられないので一日中食べ、フンをしている。

体のすべてを飛ぶために改造し、生活習慣もそれに合わせているわけで、

アスリートも真っ青である。

飛ぶための努力のきつさに、早々に飛ぶ業界を諦めて別の業界に行った鳥

(走る業界に行ったダチョウや泳ぐ業界に行ったペンギン等)もいる。

燕やアホウドリなどと比べるとろくに飛んでいないとはいえ、

まだ現役で飛ぶ業界にとどまっている鳩は偉いといえなくもない。

街中での油断しきった振舞いを見るとあまり尊敬する気になれないのだが、

それはさしずめ、オフシーズンに自宅でゴロゴロする野球選手といったところか。

 

ちなみに飛ぶ業界を諦めたダチョウだが、

修行中に絞った体と鍛えた脚を活かして、

現在は地上を時速70キロで走るスキルを身につけ、

走る業界でそれなりにやっている。

ペンギンの方は、修行中に身につけた翼と胸筋が

泳ぐのに使えることを発見したらしく、

泳ぐ業界ではそれなりの地位にいるようだ。

もっとも、かねてより苦手としていた歩行は今でも下手で、

地上では歩くより腹で滑った方が速いくらいだなどと、自嘲的に言っている。



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