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ナメクジでもいいらしい

2011年04月25日 18:52

※虫の話が入っています。ムシと聞くだけでジンマシンが出るタイプの人は御注意を。

 

子供の頃、遊ぶゲームは自分で作っていた。というより、ゲームを作る遊びをしていた。

最後にゲームを作った時は高校生になっていたが、そのゲームのことは今でも覚えている。

実在の昆虫で軍隊を結成し、盤上で戦わせるというゲームで、

「甲虫王者ムシキング」と「遊戯王カード」とチェス

(というより、むしろゲームの「スーパーロボット大戦シリーズ」)を

組み合わせたようなゲームだった。

高校生のやることだからやたらと凝っていて、

登場する昆虫の生態をできる限りゲームに反映させようと努力していた。

 

オオクワガタは装甲が堅固な上、接近戦では大顎でどんな敵でも放り投げる。

ミツバチは一撃必殺の毒針を持つが、使うと本人も死んでしまう。

クロゴキブリは生命力及び地上での移動力が抜群。しかも親が卵を卵鞘というケースに入れて

運搬することができるため、卵の時に攻撃されない(ただし運搬中の親は飛べない)。

ゲームで遊びながら昆虫の生態に詳しくなれるため、売れる商品になると思っていた。

売るつもりだったのだろうか。

 

だが、このゲームはテストプレイの段階で頓挫した。

駒として登場する昆虫の中に、

ゲームのバランスをあっさりと崩壊させるジョーカーがいたのである。

その名はチャドクガ。今ぐらいの時期、椿の葉の裏に大発生するあいつである。

 

チャドクガは体が小さくて装甲も弱く、生命力もそんなにない。

(実際、チョウやガといった鱗翅目の成虫は、指でちょっと押すだけで死んでしまう。)

だが、成虫も幼虫も毒針毛を持っており、攻撃すると、した奴の方がダメージを受ける。

この毒針毛は風に乗って飛ぶので、遠くの敵も攻撃できる。

その上、卵にも成虫が毒針毛をなすりつけていくので、卵の時に攻撃することもできない。

これだけでも強すぎるくらいなのだが、この虫は1回の産卵数が多く、すぐ増える。

なのに飛翔能力まで強くて、あっという間に盤の反対側まで移動するのである。

テストプレイをすると、盤上はあっという間にチャドクガ一色になった。

というより、途中でチャドクガの駒が足りなくなった。

せっかく数十種類も作った他の駒は全く役に立たず、

昆虫ゲームではなくチャドクガゲームの様相になった。

売れない、と思った。

 

その一方で、全く使われない駒もあった。モンシロチョウである。

何しろこいつ、弱い。装甲も生命力もなく、ろくな攻撃手段を持たない。

飛翔力はあるはずなのだが、ふにゃふにゃの軌道を描いて飛ぶためスピードが遅い。

1ヶ所に1個ずつしか卵を産まないため、繁殖にやたら手間がかかる。

それなのに生まれてきた幼虫はいろんなものに食べられてしまい、

よしんば食べられずに成長しても、

かなりの確率でアオムシコマユバチに寄生されているので、結局死んでしまう。

(ゲームでは、かわりにアオムシコマユバチが自軍に加わることになっていたが……。)

全く使えなかった。チャドクガのハイスペックと比較すると、あまりに不公平である。

 

今でも時々、不思議に思う。

チャドクガとモンシロチョウではこんなにスペックが違うのに、

現実の世界はチャドクガだらけになっていない。

それどころか、使えない駒であるはずのモンシロチョウは日本中を席巻している。

どうなっているのだろうか。

もちろん、モンシロチョウにはゲームに反映されない生存戦略がいろいろとあって、

それが成功しているのかもしれない。

(実際、チョウ類のふにゃふにゃした飛び方は天敵の攻撃をかわすための戦略である。)

でも自然界には、ゲームに反映されない生存戦略すら全く持たない動物がいる。

 

動きがのろくてあらゆる動物の餌になる癖に、カタツムリのような殻すら持たないナメクジ。

体が小さく空も飛べず、かといって泳ぎや走りも得意でないキーウィ。

魚のくせに泳げず、のろくさと海底を歩くだけで、牙も棘も毒もなんにも持たない

フウリュウウオ(バットフィッシュ)なんていうやつもいる。

こいつらがなぜ絶滅しないのかが不思議でしょうがない。

生き物というのは常に騙しあい、食いあい、殺しあいをしていて、

皆が「他人はどうなってもいいから自分だけは」と必死になっていて、

生まれてから死ぬまで全速力で走り、常に新規開拓と効率化を進めていなければ、

生存競争に負けてあっという間に絶滅するものではないのか。

 

疑問に思うわけだが、同時にちょっと安心もするのである。

生物界は確かに生き馬の目を抜く戦場なのだろうが、

何の取り柄もないはずの動物が、その中をなぜか生き延びている。

のろくさと這うナメクジだって生きていけている。

それなら自分みたいなぼけっとした人間でも、けっこうやっていけるのではないか、と。

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