生温かくて不安で灰色

2011年11月23日 22:53

何年か前に数ヶ月間、何もすることがない期間というのを経験した。

すべきことが何もなく、かといって金もないので旅行などに行けるわけでもなく、

1日中、本を読むか眠るかしていた。

最初の頃は「まあ、たまにはこういう時期もあっていいだろう」程度に考えて

のんびりしていたのだが、続けているうちにだんだん危うい状態になってきた。

1日中ごろごろしていると、だんだん気力が湧かなくなり、何もしたくなくなる。

体を動かすのが億劫になり、外に出なくなり、ついには寝っぱなしになる。

なんとなくうとうとしては目を覚まし、を繰り返し、

1日の睡眠時間が10時間になり、12時間になり、最も長い時は16時間眠っていた。

はっきりした眠りではなく、半睡半醒の、夢うつつの状態がもやもやと続く。

食事の回数は減り、11食になるが、何せ寝てばかりなので空腹を感じない。

すると摂取するエネルギー量が減るせいか、1日中眠気を感じている。

薄暗い部屋で昼も夜もなく、ただひたすらうとうとする生活になった。

感情の起伏もなくなり、ただ漠然とした不安感だけが常にあった。

半月ほどその状態が続き、

自分は今、やばい状態になっているのではないか、と気付いた。

慌てて生活ペースを戻し、外に出るようにした。

電灯ではなく窓からの自然光を入れ、外の空気と音を入れ、

眠くても朝に起き、空腹でなくても朝食をとることにした。

最初は他人の視線が妙に怖く、スーパーのレジで人と対面することすら不安だったが、

23日で元に戻った。

 

振り返ってみると、あの状態は一体何だったのだろうと思う。

睡眠時間や食事量など明らかに異常で、精神状態も普段と違っており、

いわば「省電力モード」になっていたわけである。

未経験なので確かなことは分からないが、

引きこもりと言われる状態になっている人の何割かは、

あのモードになっているのかもしれない。

 

ではあのモードは病気なのか、というと、よく分からない。
もしかして、昔のヒトは冬眠に近いことをしていたのかもしれない。

さしあたって充分な量の食事が確保できたら睡眠時間を長くし、

食事回数を減らしてエネルギーを節約するあのモードに切り替えていたのではないか。

今となってはそんな考えも浮かぶ。

あのモードになっていた時の脳波や脳内物質のバランスを測定したら、

普段と違う状態になっていることが分かるだろう。

その状態を研究すれば何か新発見があるかもしれず、

それは例えば、ヒトのバイオリズムとか、うつ病の研究につながるかもしれない。

 

とはいえ、もう一度体験してみようという気にはならない。

決して楽な状態ではなかったし、今そんなことをしていたら、原稿が。

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