床の間のトリック・オア・トリート

2010年10月14日 11:45

お店がかぼちゃ一色である。

今更強調するまでもなく、9月下旬くらいからかぼちゃ一色である。


日本のお店がハロウィン色を出すようになったのはそう昔のことではないが、

流行りだした当初は「今度はハロウィンかよ」と思っていた。

日本のお店はクリスマスで騒ぎ、バレンタインで騒ぎ、父の日母の日で騒ぐ。

ハロウィン騒ぎは9月末から1ヶ月以上続ける。

ハロウィン定着前は、クリスマス騒ぎを10月下旬からやっていた。

クリスマスの本体は12月25日であるから、都合2ヶ月間、クリスマスである。

2ヶ月間ということは1年の6分の1がクリスマスということであり、

日曜日よりクリスマスの方が多い計算になる。

商売だから仕方ないとはいえ、これではありがたみが全くない。


以前はこういうふうに溜め息をついていたのだが、
最近はなんだか楽しくなってきた。

店頭に並ぶかぼちゃは、「もうハロウィンの季節か。日も短くなるわけだ」と、

季節を感じさせてくれてなかなかよいのだ。


そう考えてみれば、ハロウィンだのバレンタインだのの流行は、

単にお店の策略ということだけではなく、

日本人の「床の間感覚」によるものなのではないか、と思える。

日本の家には床の間があり、床の間には常に何か「季節のもの」を飾っている。

ものぐさな人は雛人形を片付けた後、いきなり五月人形を飾る。

これだって「都合2ヶ月、端午の節句をやっている」のと同じである。

要するに日本人は、常に「何かの季節」でないと落ち着かないのだ。

1ヶ月続くハロウィンや2ヶ月続くクリスマスは、

床の間の笹飾りやススキの穂と同じようなものに過ぎないのではないか。


そう考えれば、長く続くクリスマスも、とってつけたようなハロウィンも、

けっこう素直に楽しめる。

季節は巡る。10月が終われば、かぼちゃたちの橙も、クリスマスの赤と緑に変わる。

それが終わると忙しい年末年始がやってきて、

バレンタインを過ぎると桜の季節がやってくる。

父の日母の日があり、夏が通りすぎ、またかぼちゃの季節がやってくる。

そういう移り変わりを想うと、店頭に並ぶかぼちゃを見ながら

「日本人でよかったなあ」としみじみ思う、という奇妙なことになるのである。



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