怪人・中年弁当男

2011年08月01日 19:25

 少し前の朝日新聞のコラム(「オトナになった女子たちへ」724日)で

湊かなえ先生が書かれていたことをざっくり引用します。

 

「中年弁当男子」という言葉がある。

最初見た時はなんじゃそりゃと思ったが、

考えてみると「中年弁当男」ではなんだか物悲しくうら寂しい。

「中年弁当男子」ならお洒落で前向きな印象になる。

 

だいぶざっくりな引用ですが、この話にはかなり納得しました。

「中年弁当男」では確かに、うらぶれた印象にしかなりようがないのです。

 

うらぶれる原因は2つ。「中年」と「男」です。

まず「男」。「○○男」と言われて思い浮かぶのは、どんな単語でしょうか。

「怪人カマキリ男」「狼男」「ノートルダムのせむし男」。

怪人ばっかりです。せむし男はいいやつですけど。

そうでなければこうです。

 

「小学校に刃物男 職員がさすまたで応戦」

 

我々が普段目にする「○○男」というのは、たいていこういう文脈です。

これではポジティヴなイメージになりようがありません。

 

そして、それ以上に問題なのが「中年」。

私たちは、「中年」という単語に1つでもいいイメージをもったことがあるでしょうか。

「壮年」という単語が「働き盛り」「エネルギッシュ」「仕事もヴェテラン」という

プラスイメージを想起させるのに対し、

「中年」という単語は「腹の肉」「高血圧」「運動不足」といった

マイナスイメージしか浮かばないのではないでしょうか。

「中年」という単語はいい文脈で使われることがほとんどありません。

 

こういう単語を頭にくっつけてしまっては、

どんな言葉もうら寂しくなるに決まっています。

「『中年』をつけると何でもうら寂しくなる。」

ためしに、本棚にある本のタイトルでやってみましょう。

 

「中年・わらの女」

「中年・待っている」

「中年・空を見上げる古い歌を口ずさむ」

「中年Xの悲劇」

「中年アルジャーノンに花束を」


もう耐えられません。

 

こうなってしまうのも、「中年」というものを「若さをなくした人」という

マイナスイメージでしかとらえないことに原因があるのです。

どうも日本の風潮として、

なんでもかんでも若さ万歳で青春賛美という方向性があるせいで、

「青少年」の対義語としての「中年」「老年」があおりを食っている気がします。

実際、「中年」というものの長所、

練度と精力の両立とか、人生経験からくる謎の図太さとか、

渋みとか包容力とか安定感とかその他もろもろのものを分かっている人なら、

先に並べたタイトルもそう物悲しく感じないのではないでしょうか。


そう思って見てみると、

 

「中年・黄金を抱いて飛べ」

「中年ワーキングガール・ウォーズ」

「中年読者は踊る」

「中年ミステリーの書き方」


何か楽しげになりました。

 

タイトルの選定が偏ってやせんか、というつっこみはなしです。

ぼちぼち中年ロードに特攻(ぶっこみ)をかけようとしている身としては、

今のうちに少しでも地ならしをしておきたいわけで。

あらかじめ地ならしをしてるんじゃ特攻(ぶっこみ)と言えんだろう、

というつっこみもなしです。

 

ちなみに、「男」を「男子」に、「女」を「女子」に変えたからといって、

なんでもポジティヴになるわけではないので注意が必要です。

「蠅男子」「ハサミ男子」「二口女子」「口裂け女子」。

気をつけましょう。

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