緑色の客

2011年11月02日 19:36

先日、なんとなく総武線快速のグリーン車に乗ってみました。

グリーン車に乗るためには乗車券の他にグリーン券が必要になるわけですが、

最近はIC乗車券(私の近所はSuica)でもグリーン券が買えるようです。

システムは以下の通り。

 

    駅のホームにあるグリーン券販売機にIC乗車券をかざす。

そうすると料金が支払われ、「グリーン券情報」がIC乗車券に記録される。

 

    グリーン券情報の入ったIC乗車券を持ってグリーン車に乗車。座る。

この段階ではまだタダ乗り扱い。

 

    座席の上についているパネルにグリーン券情報の入ったIC乗車券をかざす。

パネルのランプか赤から緑になる。

 

    緑ランプの席に座っていると検札にきた車掌さんがスルーしてくれる。

赤ランプの席に座っていると「グリーン券はお持ちですか?」と訊かれる。

IC乗車券でない人や、まだランプを緑にしていない人は、

ここでタダ乗りでないことを示す。

 

    降りる予定の駅に来るとランプが赤に戻る。

 

※途中で席を移る場合、勝手に移動して、移動先の席に同じIC乗車券をかざせばよい。

 前に座っていた席のランプは赤になり、移動先のランプが緑になる。

 

よくできたシステムです。

以前は検札にくる車掌さんが乗客全員からグリーン券の提示を受けなければならず、

乗客からしてみればはなはだ邪魔(寝てたりするし)な上に車掌さんの方も大変、

という状況でした。

なるほどなあ、と最初は感心していたのですが。


しばらくして、車掌さんが検札にきました。

座席のランプを確認しながら進んでくる車掌さんを見て、私は急に不安になりました。

 

……このシステム、ズルできねーか?

ポイントは、2つ。


1
つ目のポイントは、車掌さんに「グリーン券をお持ちですか?」と訊かれてから、

「ああ、ランプ変えるの忘れてました」と言って持っているIC乗車券をかざし、

自分の席のランプを緑にするのもアリ、ということです。

これは仕方がありません。ランプが赤だからといって即、タダ乗り扱いしたら、

IC乗車券を持っていない乗客や使い方を知らない乗客が困ります。

 

2つ目のポイントは、車掌さんが「ランプを確認しながら進んでくる」ということです。

つまり車掌さんは、それぞれの座席のそばに来るまでは、

どの席に乗客がいて、その席のランプが赤なのか緑なのかは、

確認していない可能性が大きいわけです。

だとすると。

 

    まず2人で乗る。

 

    Aが車両後方に、Bが車両前方に座る。

 

    車両後方に座ったAがまず、IC乗車券で自分の席のランプを緑にする。

 

    AのIC乗車券をBに渡す。Bは車両前方の席に座るが、ランプは赤のまま。

 

    車掌さんがやってくる。ランプが緑なのでAはスルーされる。

    ランプが赤のBがグリーン券の有無を訊かれたら、

AのIC乗車券で自分の席のランプを緑にしてみせる。

車掌さんはBもスルーする。後方ではAの席のランプが赤に戻るが、

車掌さんはすでにそこを通過している。


トリック図1 

トリック図2

 トリック図3 

  ……という方法をとると、1枚のIC乗車券で2人がグリーン車に乗れてしまうのでは?

 

不安になったので、車掌さんに訊いてみました。

返ってきた答えは簡単でした。「こまめに確認しておりますので」。

 

つまり、これまではせいぜい一度しかしなかったグリーン券の有無の確認を、

繰り返ししている、というのです。

ほほう、と思って車掌さんをじろじろ観察してみました。

すると確かに、検札のやり方が少し変わっています。

従来は車両後方から前方に向かって歩きながら一度確認したら、

帰りはほぼ素通りしていたはずですが、

今の車掌さんは、後方からランプを確認しながら前方に消えた後、

帰りに前方から入ってきた時もランプを確認しながら後方に進んでいます。

しかも、しばらくしたら再び登場し、同じことを繰り返しました。

ランプと乗客の有無を確認しながら歩くだけなので、

何度も確認したとしても、あんまり手間はかからないのです。

 

なるほどと思いました。

私がさっき考えたトリックでズルをした場合、確かに最初は1人、タダ乗りできます。

ですが、そのまま漫然と待っていると、車掌さんが今度は前方から攻めてきます。

トリック終了後の状態のままだと、後方に座っているAは、

ICカードを持っておらず、ランプも赤、という状態になり、お縄です。

(そんなことはないです。車内で割高のグリーン券を買うことになるだけです。)

 

では、車掌さんが前方に消えた後、大急ぎで後方のAにIC乗車券を渡しては?


これはダメです。車掌さんからすれば、

さっき後方から確認した時は緑ランプの席に座っていたはずのAが、

なぜか今は赤のランプに座っており、もぞもぞとIC乗車券を出してランプを緑に変える、

ということになってしまいます。

 

それなら後方のAは、

前方から入ってきた車掌さんが自分のところまで来る間にランプを緑にすれば?


これもダメなようです。前方から来る時は、車掌さんは妙に素早いのです。

 

さらに、降りる時になって、私はもう1つ気付きました。

座席の上のランプは、車両後方や前方から一望できる位置につけられているのです。

そして車掌さんは車両を出る時、お辞儀をしながらちゃんとランプを見渡していました。

途中で色をころころ変えたら、バレること必至です。

 

なるほどと思いました。
ハード面の陥穽は、ソフト面での丁寧な運用でカバーすることができる、というわけです。

まあ、逆もまた然りで、

ソフト面の運用を丁寧にやっていないと、ハード面でいくら頑張っても事故が起こるわけですが

 



後日私が「そもそも、そこまでしてグリーン券料金をちょろまかす奴なんていない」

ということに気付くのは、また別のお話。

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