ジャックフロストがコーラを飲むと何色になるの?

2012年12月24日 23:18

>やあ、マーク。メリークリスマス!


>やあ、シロー。メリークリスマス!

おかしいな。僕のラップトップは故障したんだろうか?

日本人はクリスマスを恋人と一緒に過ごすはずだ。

シローが今頃、こんなところでチャットをやっているはずがないんだが。


>君のラップトップは正常だよ。残念なことにね。


>悲しいことだ。気を落とすなよ。

 日本のことわざで言うだろう?「タデが好きな虫もいる」


>「蓼食う虫も好き好き」?

 どうもありがとう、マーク。素晴らしいよ。全くなぐさめになっていないところがね。


>今年は虫が現れなかっただけさ。君の仕事では喜ぶべきことじゃないか。

 東京は暖かくて華やかなんだろう? どこかに遊びにいってみたら?


>そっちの方がキツいよ。

 ゴアブリッジはどうなんだい? クリスマスは賑やかになるの?


>エディンバラから12マイルも離れたド田舎だぜ? 静かなもんさ。

 クソ寒いし、みんな家に閉じこもって静かにしてる。

 サンタクロースはさっきもう来たよ。
 寒いからこのあたりのプレゼントはさっさと配って、
 毎年、夜更けに回るのはデヴォンあたりと決めてるそうだ。


>ひどいもんだね。まだ靴下を用意していない子供もいるだろうに。


>シローがうらやましいよ。

 アキハバラのサンタクロースはミニスカートの女の子で、

 「おかえりなさいませ、御主人様」って言ってコートを脱がせてくれるんだろう?


>何かとごっちゃになっているな。それはないよ。


>なんだ。寂しいな。

 それじゃ、聖マルコ様が寂しいシローのためにお話をしてあげよう。

 昨年のクリスマス、僕が出くわした奇妙なおっさんの謎についてだ。


>謎だって?


>君にとってはね。

 昨年のクリスマスの、午後3時頃だったかな。

 マーケットで買い物をしていた僕は、奇妙なおっさんを見た。

 そのおっさん、フラフラとカフェに入ったと思ったら、

 ラージサイズのコーラを持って出てきて、一気に飲みほしちゃったんだ。

 僕が驚いたのは彼の恰好さ。ネクタイは緩めてたし、
 上着どころかジャケットも着ていないんだぜ?
 しかもそのおっさん、コーラを1杯おいしそうに飲みほした後、
 「まだ足りないな」っていう顔をして、またカフェに入ったんだ。
 そしてまたラージサイズのコーラを持って出てきた。
 2杯目のコーラは20分もかけてうまそうに飲みほしたよ。

 どうだい? 不思議だろう? おっさんはその間、少しも寒そうにしてなかったんだ。

 しかもコーラを飲みほすと、カップに残った氷までガリガリ食べたんだぜ! 2杯とも。

 どういうことだと思う?


>どこかから走ってきて、暑かったんじゃないのかい?


>おっさんはゆっくり歩いてきたし、息をはずませてる様子もなかった。

 それに、2杯目のコーラは20分もかけてゆっくり飲んだんだぜ?


>僕にとっての謎は、君がコーラを飲むおっさんを
20分以上も眺めてたことだけど。

 その人、本当にコーラを飲んでいるだけだったのかい?

 コーラを飲みながらバーベキューをやってたんじゃないか?


>僕はある事情ですごく暇だったんだ。

 彼が口にしたのはコーラだけさ。まわりには火なんて一切なかった。


>そっちには、ホットコーラに氷を入れてくれる店があるのかい?


>よく読んでくれ。おっさんは
20分かけてコーラを飲みほして、

 「その後に」氷をガリガリ食べてたんだ。ホットコーラじゃないだろうさ。


>日本には、服の中に貼りつけるととても熱くなる、

 「使い捨てカイロ」っていうパッドが売ってる。薬局で買えるよ。


>「お灸」みたいなものかい? よく分からないな。

 でも、それなら剥がせばいいじゃないか。剥がせるんだろう?


>剥がせるね。少なくとも、コートとジャケットを脱いでネクタイを緩め、

 カフェで20分もかけてコーラを飲むよりずっと楽に。


>どうだい? 分かるかい?


>僕が子供の頃、冬でもハーフパンツの友達がいた。


>かわいそうに。


>貧乏だからじゃなくて、彼が寒さに強いからなんだ。
 そういう人だったっていう結論は無理かな?

 そのおっさん、「ジャック・フロスト」って名前じゃないのかい?


>無理だな。
 それに、フロスト警部はクリスマスだって忙しいだろ。

 カフェでのんびりコーラなんて飲んでないさ。

 どうだい? 降参かい?


>せっかくのプレゼントだからもう少し頑張るよ。

 でも、何かヒントがほしいな。


>ヒント? うーん……

 それなら、これはどうかな? ヒントは「親不孝」だ。


>「親不孝」?


>これでもう分かっただろう?


>少し時間をくれないかい?


>オーケー。ちょうど今、ママが呼んでる。オーブン見てろってさ。

 君には少し時間をあげよう。我が家の七面鳥が焼き上がるまでに謎を解いてくれ。

 それじゃ、また。


>オーケー。それじゃ、また。















>やあ、シロー。謎は解けたかい?


>やあ、マーク。七面鳥はうまく焼けたかい?

 謎の答えは、解けたんじゃなくて思い出した。君の「親不孝」というヒントでね。


七面鳥の方は結局ママがやった。

 彼女、「手伝え」って言って僕を呼ぶくせに、いつも最後は全部自分でやっちゃうんだ。
 
それなら呼ばなきゃいいのにね。
 
それより謎の答えを教えてくれ。どういうことなんだい?

>そいつはご苦労様。

 謎の方は簡単だった。まったく、ひどい答えさ。
 僕はすっかり忘れていたんだ。君がオーストラリアに留学中だってことをね。
 むこうのクリスマスは真夏じゃないか。
 君は昨年、クリスマス休暇に帰省しなかったのかい? 確かにとんだ親不孝だ。


>飛行機のチケットを取りそこねたんだ。

 あんなにすぐに一杯になるなんて思っていなかった。


>君が「すごく暇だった」のは、友人がみんな帰省してしまったからだね?


>その通り。ひとりぼっちですごく寂しかった。

 だけどシロー。僕は昨年知ったんだよ。

 1年でいちばん清らかな夜なんだ。ひとりで外を散歩してみるのも、そう悪くないぜ。


>ありがとう、マーク。そうしてみるよ。


>おっと、またママが呼んでる。
 
それじゃあシロー、僕はそろそろログアウトするよ。
 来年が君にとっていい年になりますように。

>ありがとう。それじゃあ君も、よい年を。

スポンサーサイト

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nitadorikei.blog90.fc2.com/tb.php/76-f4c5b05e
この記事へのトラックバック


最新記事